妊娠中の脱毛で知っておくべき医療リスク|安心して過ごすための基礎知識
「妊娠してから髪の毛が抜けやすくなった」
「この抜け毛は一時的なもの? それとも病気のサイン?」
妊娠中や産後に多くの女性が経験するのが脱毛(抜け毛)です。
多くは一時的な体の変化によるものですが、なかには医療的なリスクが隠れている場合もあります。
この記事では、妊娠中の脱毛の原因と仕組み、注意すべき医療リスク、そして安心して過ごすためのセルフケアや受診の目安について詳しく解説します。
妊娠中に脱毛が増える理由
ホルモンバランスの変化
妊娠中は女性ホルモンの「エストロゲン」が増え、髪が抜けにくい状態になります。
しかし、出産に近づくとホルモンが急激に減少し、**大量の抜け毛(分娩後脱毛症)**が起こりやすくなります。
栄養不足
胎児の発育に多くの栄養が使われるため、母体は鉄分やタンパク質不足に陥りやすくなります。
これは血流や毛根への栄養供給を妨げ、抜け毛の原因となります。
ストレスや生活習慣
妊娠中は睡眠の質が低下しやすく、精神的な不安も増えるため、髪に影響を及ぼすことがあります。
妊娠中の脱毛に潜む医療リスク
「妊娠中の抜け毛は自然なこと」と片づけてしまうのは要注意です。
以下のようなリスクが隠れている可能性があります。
1. 鉄欠乏性貧血
妊娠中に最も多いリスクの一つ。鉄不足は抜け毛だけでなく、
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立ちくらみ
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動悸や息切れ
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倦怠感
などを引き起こし、母体と胎児の健康に影響を与えることがあります。
2. 甲状腺機能異常
甲状腺ホルモンは代謝や毛髪の成長に関わります。妊娠中に甲状腺機能が乱れると、
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脱毛の増加
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動悸
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体重の急激な増減
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異常な発汗や寒がり
といった症状が出ることがあります。見逃すと胎児の発育にも影響を及ぼす可能性があります。
3. 自己免疫性疾患
円形脱毛症などの自己免疫疾患が妊娠をきっかけに悪化する場合も。
「部分的にごっそり抜ける」症状は自然な抜け毛ではなく、医師の診断が必要です。
4. 栄養失調・過度なダイエット
妊娠中でも「体重を増やしたくない」と無理な食事制限をすると、髪の毛や爪に影響が出ることがあります。
医師に相談した方がよいサイン
次のような症状がある場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。
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抜け毛が急激に増えて地肌が見える
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脱毛とともに「めまい・動悸・極端な疲れ」がある
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部分的に円形の脱毛が出てきた
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体重変動や体調不良を伴っている
妊婦健診の際に医師へ相談すれば、血液検査などで鉄分や甲状腺の状態を確認してもらえます。
妊娠中の脱毛対策|セルフケアの基本
栄養を意識した食生活
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鉄分:赤身肉、レバー、小松菜、ひじき
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タンパク質:魚、卵、大豆製品
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ビタミンC:果物(鉄分の吸収を助ける)
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亜鉛:ナッツ類、牡蠣(髪の毛の成長に関与)
頭皮ケア
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低刺激シャンプーで優しく洗う
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マッサージで血流促進
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髪を強く結ばず自然なスタイルに
生活習慣の工夫
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睡眠をしっかりとる
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軽い運動やストレッチで血行を良くする
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ストレスを溜め込まない(深呼吸やマタニティヨガもおすすめ)
妊娠中の脱毛は「一時的」でも放置しないことが大切
多くの場合、妊娠中や産後の脱毛はホルモンバランスの変化による一時的なもので、時間とともに回復します。
しかし、鉄欠乏性貧血や甲状腺機能異常などの医療リスクが潜んでいる可能性もあるため、見逃さないことが大切です。
「抜け毛くらい大丈夫」と思わずに、体調の変化が気になるときは早めに医師に相談しましょう。
まとめ
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妊娠中の脱毛はホルモン変化・栄養不足・ストレスが原因
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鉄欠乏性貧血や甲状腺異常などの医療リスクが隠れていることもある
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栄養バランスを意識した食生活と優しいヘアケアが大切
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異常な抜け毛や体調不良を伴う場合は医師に相談を
妊娠中の脱毛は「一時的な変化」で済むことが多いですが、体からのサインを軽視せず、安心してマタニティライフを送るための知識として覚えておきましょう。